足音
どこからともなく聞えてきたその足音は、ささやかなざわめきを残してあっという間に過ぎ去ってしまった。
いままでまったく気配を感じなかったというのに、いつのまに間近に迫っていた。
ほんの直前まで気付かずにいた。
なぜ気付かなかったのか。
過ぎ去った後では、それがとても不思議。
木々の色、流れる風、柔らかい陽光、どれもが彼らの名残。
少しずつ振りまいて、それらを心に落としていった彼らは一度も振り返らず、南へ旅立ってしまった。
待ち望んでいたのに。
焦がれていたのに。
でも、足音はもう聞えない。
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