そのファッションビルは、三・四階に無印良品が入っていて、時々買い物に行っている。
今日もなんとなく「無印に行ってみよう」という気になり、ファッションビルに足を踏み入れた。
ここは数年前にオープンした新しいビルだが、年を経るごとに今時のギャル系ファッションに侵食され、どの店の店員もヘビメタのように頭髪を膨らませ、ここはワイキキビーチか? と聞きたくなるような肌を露出した服装に身を包んでいる。
ファッションにあまり興味がなく、流行を追う気もさらさら持ち合わせていない私には、入り口からエレベーターに乗るまでの短い距離が、地球外生命体との接触エリアのごとく居心地が悪い。
女性のお笑いタレントが洋服屋の店員のものまねをしているが、まさしくそれと同じ嘘くさい「いらっしゃいませー」の声が耳に刺さる。
無事エレベーターに乗ると、ホッ息を吐いた。
二階の店員もヒョウ柄のキャミソールに下着が見えそうなくらい短いスカートをはいている。その短いスカートは、本来の役割を果たすことができるのだろうか。腰巻と言ったほうがいいような気がしてくる。。
スタイル抜群で見せびらかしたいのはわかるが、何も公共の場で鶏の鶏冠のように髪を立て、色気も飛んでしまうほど肌を露出しなくてもいいではないか。
いくら室内とはいえ、肩を丸出しにして腹も出し、身体が冷えないのか妙に心配してしまう。
そんなことを思いながら、三階へ上がるエスカレーターに乗った私はあまりの出来事に目を疑ってしまった。
あるはずの無印良品がないではないか!
白いベニヤ板で入り口がふさがれていて、降りることもできない。
呆然としながら四階行きのエスカレーターにそのまま乗り、まったく同じ白いベニヤ板に進入を阻まれ、自動的に五階まで運ばれてしまった。
慌てて下りエレベーターに乗ったが、衝撃から立ち直れず、おたおたしながらなんとか一階にたどり着くことができた。
そこは私とは相容れない、異世界が広がっている。
ファッションビルはショックを受けて呆然としている私を異物と認識したのか、裏口から容赦なく私を吐き出した。
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数日前、本当にあった出来事です。
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